2023年2月の時事ニュース一覧です。
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2月2日
キラキラネームに規制、名前に使う漢字の読みは常識的な範囲に
法務大臣の諮問機関である法制審議会の部会が戸籍法改正に向けて要綱案をまとめた。案では、戸籍に読み仮名を必須とし、漢字の読み方は「一般に認められているものでなければならない」という規定を設けることを提案している。この規制は、2024年度から施行される予定で、戸籍に読み仮名を必須とすることで、行政手続きのデジタル化やマイナンバーカードへのローマ字表記を促進することが目的という。ただ実質的には、いわゆるキラキラネームと言われる、漢字本来の読み方とは違う読み方に一定の制限がなされることになる。例えば、「太郎(まいける)」や「光宙(ぴかちゅう)」といった名前は、漢字の意味や読み方からは連想できないため、認められない可能性がある。一方、「海(マリン)」や「陽葵(ひまり)」といった名前は、既に一定程度使われているため、認められる可能性がある。
キラキラネームは、親が子どもに個性的な名前を付けたいという願望などで増加したものの、2000年ごろまでは「DQNネーム」と揶揄されてきた。「DQN」は「ドキュン」と読み、不良やガラの悪い人物を指すインターネットスラング。不良などを特集するテレビ番組に由来し、「DQNネーム」はすなわち「品性に問題がある親につけられる名前」(そして子どもの品性も疑わしい)という侮蔑する意味になる。これが「キラキラネーム」と再命名されて徐々に拡大してきたわけだが、なお読みにくい、覚えにくい、いじめの原因になる、就職に不利になるなどの問題点が指摘されている。子どもにはどうしようも無いものを親の一存で決められるという点も重要だ。弁護士ドットコムの調査では、約8割がキラキラネームに規制を設けることに賛成している。
キラキラネーム制限、法改正検討…「太郎」で「マイケル」は× : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
キラキラネーム終了に賛成8割、人気の陽葵・陽翔もDQNネームか?難読でもみんなが名付ければOKに? : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
キラキラネームの現状とは?実際に起きた騒動や結末も紹介|資産形成ゴールドオンライン (gentosha-go.com)
2月6日
国産ジェット旅客機の完成ならず、事業撤退
三菱重工は、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発から撤退することを発表した。技術的な問題や市場の変化により、たびたび開発は遅延しコストも増加。新型コロナウイルスの影響もあり、事業性が見込めないと判断したという。
このプロジェクトは官民を挙げて日本の航空機産業の育成や国際競争力の向上を目指したが、実現することなく幕を閉じた。三菱重工は約1兆円を投じたが、ほとんどが損失となる見通し。三菱重工はこの知見を日英伊共同開発が決まっている次期戦闘機の開発に活かすとしている。
三菱重工、国産ジェット旅客機撤退へ 開発会社も清算 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
三菱重、国産初のジェット機事業から撤退-凍結表明から2年で幕 – Bloomberg
三菱の国産ジェット機が撤退に追い込まれた必然 政府も含めたビジネス感覚、当事者意識の欠如 | 日本の防衛は大丈夫か | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
教皇が同性愛禁止法を批難
教皇は2023年2月5日に発表した声明で、世界の同性愛を禁止・制限する法律を批難した。
同性愛者の権利や自由を制限する法律は世界の約70カ国で施行されている。同性愛者に対して罰金や投獄、拷問、死刑を含む刑罰を科すことがある。
教皇は、同性愛禁止法は「不正義であり、暴力であり、人間の尊厳に反する」と述べた。同性愛者も神によって創造された「神の子」であり、教会や社会の一員として受け入れられるべきだとも語った。
教皇が同性愛禁止法を批難したことは、カトリック教会の中でも注目されました。カトリックの教義では同性愛は「罪」とされる。
これに対し教皇は、1月27日にAFP通信のインタビューで同性愛は「罪」だが「犯罪」ではないと述べている。教皇は、同性愛者であること及び同性愛者を認めることと、同性愛行為を認めることとを区別している。
教皇はこれに沿うような発言を繰り返しており、同性婚を祝福することはできないという教理省の見解に同意しており、伝統的な教義を守っている。一方で、2013年に「同性愛者を私は裁けるだろうか?」という発言や、2020年には同性カップルの法的保護を支持する発言をし、同性愛者に対して寛容な姿勢も見せてきた。
教皇の立場は、カトリック教会の中でも進歩派とされるもので、保守派からは批判が出ている。
【関連】カトリック聖職者の8割は同性愛者という指摘
ローマ教皇、同性愛禁止する法律を非難 英国国教会の指導者らも教皇を支持 – BBCニュース
ローマ教皇、同性カップルへの祝福を容認する発言 – BBCニュース
ローマ教皇庁、「同性婚は祝福できない」と公式見解 – BBCニュース
トルコとシリアで地震、違法建築で被害拡大
2023年2月6日、トルコ南東部で2回地震が発生。この地震は、トルコ南部とシリア北部にまたがる広い地域で甚大な被害をもたらし、数百万棟の建物が倒壊、確認された死者は5月までに5万6000人となった。マグニチュード7.8および7.5だった。被害拡大の背景には、安全基準を満たさない違法建築が多数存在していることが挙げられている。倒壊した建物には、耐震性をうたい、また耐震基準が刷新された2018年以後に建てられた新しい建物も含まれる。専門家は大地震でありつつも、最新の技術に沿うものであれば倒壊するほどではなかったと指摘。トルコは地震多発国であり、耐震基準も厳しいという。しかし、トルコ政府はたびたび、耐震基準を満たさない建物でも、政府に一定の金額を支払えば建物として認める措置を実施。さらに店舗スペースのため低層階の柱を切ったり、上層階を無理に増築することが横行しているという。
トルコでなぜあれほど多くの建物が倒壊したのか 耐震対策は – BBCニュース
トルコ当局、建物倒壊で建設業者ら逮捕 シリアと合わせ地震死者3万3000人超す – BBCニュース
トルコ、大地震の建物倒壊で200人近くを逮捕 – CNN.co.jp
【関連】パンの廃棄相次ぐ、支援との間にズレも
トルコで発生した大地震の被災地に送られた支援物資のうち、パンや衣類などが大量に余って廃棄されるという事態が起きているという。被災者からは、「もう食べ物はいらない。欲しいのは下着やトイレだ」という声もある。
この問題の背景として、トルコ政府が支援物資の必要量や種類を適切に判断できていないとか、物資の配送や管理が十分に行われておらず山間部などには物資が届かないという状況が続いているなどの指摘がある。
パンや衣類、廃棄相次ぐ=支援のずれ拡大―トルコ被災地 | 時事通信ニュース (jiji.com)
米ビッグテックが揃って利益減少
アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・コムは、2022年10~12月期の決算で、全て純利益が減少したことがロイターで報じられた。減益の理由は、新型コロナウイルスの流行に伴う特需の反動や、世界的な景気減速、インフレで消費者の購買意欲が減退・企業が投資に慎重になったりしたことなどが挙げられる。
各社は、人工知能(AI)やメタバースなどの新技術に活路を求めているが、人件費削減などのコストカットも同時に行われている。
米巨大IT、全5社が減益 | ロイター (reuters.com)
【関連】日本のデジタルサービスの赤字は拡大 (2月23日)
日本のデジタルサービスの赤字が近年急速に拡大しており、2022年には4.7兆円に達した。
デジタルサービスの赤字とは、日本が海外のIT(情報技術)サービスに支払う金額が、日本が海外から受け取る金額を上回ることを指す。
このデジタルサービス赤字は通信やコンサルティング、著作権料などを含むサービス収支全体の赤字の約9割を占めるほどの規模になっている。
赤字の拡大の背景には、米国の巨大IT企業が提供するネット広告やクラウドサービスなどの利用を増やしていることが挙げられる。また、外資系のコンサルティング会社や研究開発機関への支払いも増えている。
日本のデジタルサービスの赤字は、日本経済にとって大きな課題だ。デジタルサービスの赤字は、外貨の流出を意味し、円安圧力につながっている。ちなみに旅行収支は2.5兆円程度(2019年)であり、それを遥かに上回る額となっている。
日本「技術劣化」の貿易赤字、サービス収支“赤字5.6兆円”の8割がデジタル関連 | 野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
結局、デジタル赤字はどれくらいなのか?|唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト) (nikkei.com)
2月7日
Microsoftの検索がGPT-4に対応
Microsoftは2月7日、運営する検索エンジン「Bing」およびブラウザ「Edge」に、OpenAIの最新のAI言語モデルであるGPT-4を搭載したと発表した。
Bing検索とChatGPTという対話型AIを融合させることで、ユーザーの質問に対してウェブから情報を収集し、自然な会話形式で検索が可能になる。また、EdgeブラウザやBing検索画面上で画像や動画などを生成することも可能になった。
MicrosoftはOpenAIモデルの力を最大限に発揮する独自の方法も開発したことで、より関連性が高く、タイムリーで的を射た結果が提供されるとともに、安全性も向上しているとしている。また、Bing検索は、ユーザーのニーズや興味に応じて、画像や動画などのマルチメディアコンテンツも生成することができるようになっています1。
プレビュー版を試用したレビューによると、Bing検索は高度な情報検索のあり方を示す一方で、回答には不具合や倫理的なジレンマがあり、改善の余地があるとされる。
Bing検索のチャットGPT対応は、検索エンジンでGoogleが他サービスを圧倒するなか、 Googleや他の競合サービスとの差別化を図る目的がある。Microsoftは2019年にOpenAIへ出資していたうえ、1月にはOpenAIへ1億ドル(1.3-4兆円)の出資とパートナーシップの拡大を発表していた。
マイクロソフトがChatGPTより強力なAIを搭載した新しいBing検索エンジンとEdgeブラウザを発表|@DIME アットダイム
ChatGPTとBing検索が融合:マイクロソフトがAIでグーグルに対抗 | WIRED.jp
ASCII.jp:「Bing検索」にChatGPTが搭載! 使い方を解説
【関連】Googleが一般向けAIサービス「Bard」発表、ChatGPTに対抗(2月6日)
Googleは2023年2月6日、対話型人工知能「Bard」を発表した。同年3月21日にアメリカとイギリスで試験運用版の提供が開始、同年5月10日には、日本語と韓国語にも対応し、全世界で一般公開されている。
Bardは、Googleが2021年に発表した大規模言語モデルLaMDAを活用しており、自然な文章で質問に回答できる。
Bardの発表は、Microsoftが出資するOpenAIが開発した人気のAIチャットボット「ChatGPT」に対抗するものと見られている。ChatGPTは、2022年11月に一般公開されて以来、高精度な会話能力で多くのユーザーを獲得し、会話型AI市場の独占に成功した。Googleは検索エンジンで世界シェアの3/4以上を占めるものの、22年12月にはアメリカにおけるネット広告シェアについて、Google及びInstagramを運営するmetaを合計した割合が5割を下回ったと報じられた。
Googleは、ChatGPTの脅威に対処するために、社内でコードレッドと呼ばれる厳戒警報を発令し、AI戦略を見直したという。Bardは、その結果として急遽発表されたものであり、発表時には間違った回答を示すなどの失態もあまた。
Bardは、Googleの検索インターフェイスとは切り離された専用ページで提供されており、GPT-4をブラウザや検索エンジンに埋め込んでいるBingとは対照的。Bardは、APIによって開発者が独自のアプリケーションを構築できるようになる予定であり、Google WorkspaceやAdobeとの連携も発表されている。
グーグルが会話型AI「Bard」を投入:ChatGPTに対抗する意味とは | WIRED.jp
グーグルがAI「Bard」を発表、ChatGPTの流れは止まるのか? | Soune Inc|東京のデジタルコンテンツ制作会社
GoogleがAI「Bard」の高機能モデルを公開、「Googleレンズ」との連携が日本でも可能に | Web担当者Forum (impress.co.jp)
MetaとGoogleのネット広告シェア、ついに5割下回る | Japan Innovation Review powered by JBpress (ismedia.jp)
2月8日
1週間の搬送困難件数が8000件突破
救急患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が9~15日の1週間に計8161件に上った。調査開始の2020年4月以来、4週連続で過去最多となっている。
総務省消防庁は、患者の搬送先が決まるまでに病院への照会が4回以上あったケースなどを「搬送が困難な事例」として、全国の主な52消防本部の件数を取りまとめている。
新型コロナ感染拡大前に当たる2019年度の同時期の5.33倍の一方、新型コロナ感染が疑われるケースは全体の約3割(28.6%)。コロナ患者増加が全体を逼迫させているといえそう。
救急搬送困難、4週連続で最多 コロナ疑いの患者件数も2週連続:朝日新聞デジタル (asahi.com)
搬送困難8000件突破=4週連続で最多―総務省消防庁 | 防災・危機管理ニュース | リスク対策.com | 新建新聞社 (risktaisaku.com)
中国で高齢者の抗議デモが起き「白髪運動」と報じられる
2023年2月、中国の武漢市と大連市で医療保険改革に反対する高齢者や退職者の抗議デモが発生した。前年に「白紙革命」と呼ばれる習近平政権に対する抗議デモにならって、参加者の頭に目立つ白髪から名付けられた。
発端となった医療保険改革とは、武漢市が2023年2月1日から実施した、基本医療保険外来共済保障実施細則という制度のこと。この制度では、退職者の医療保険金が大幅に削減されたり、外来診療補助の支払基準や上限が厳しくなった。 白髪運動は、2月8日に武漢市政府前で行われた請願集会から始まり、2月15日には武漢市の中山公園で数千人規模のデモが発生。デモ参加者は「医療保険改革」の撤回を要求し、「反動政府を倒せ」と叫んだり、革命歌を歌ったりした。さらに大連市でも同じように医療保険改革に反対する高齢者や退職者がデモを行った。中国政府は警察を出動させ鎮圧したほか、インターネット上での情報遮断を行った。
高齢者、習氏に反旗 特殊部隊が「白髪運動」弾圧―中国・武漢デモ:時事ドットコム (jiji.com)
中国・武漢で2日連続の抗議デモ 高齢者が怒った「白髪運動」 他都市にも拡大か:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
武漢・大連で起きた「白髪運動」 | “Japan In-depth”[ジャパン・インデプス] (japan-indepth.jp)
【中華考現学】「白紙」「白髪」に通じるものは? 天沼 康 – 月刊正論オンライン (sankei.com)
2月10日
闇バイトによる強盗多発
2021年から2023年にかけて、14都府県で50件以上の強盗・窃盗事件が発生し、一連の事件とみなされている。
これらの事件では、実行犯はSNSや通信アプリで「闇バイト」に応募。フィリピンの指示役に指示されて民家や高級腕時計店などを襲っている。
実行犯として逮捕されたのは、16歳から40歳の男女で、60人以上にのぼる。
指示役とされる「ルフィ」と名乗る男をはじめとする4人は、特殊詐欺に関与したとしてフィリピンに拘束されており、日本側が身柄の引き渡しを要請。日本とフィリピンとは犯罪人引渡し条約を結んでいないが、フィリピンは引渡しに応じ、日本国内に移送された。
日本の「ルフィ」連続強盗・詐欺事件、
追跡“ルフィ”事件〜匿名・流動型犯罪の衝撃〜 – NHKスペシャル – NHK
「ルフィ」ら容疑者 日本への送還手続き進め実態解明急ぐ 警察 | NHK | 事件
広域強盗、関連する事件は50件以上と判明 すでに60数人逮捕:朝日新聞デジタル (asahi.com)
2月13日
小惑星クワオアーに謎多き環が発見される
クワオアーは、太陽系外縁天体すなわち冥王星付近にある太陽を周る天体で、直径は約1,100kmと冥王星の半分ほどの大きさがある。2023年2月、国際研究チームの観測により、周囲に2つの環を持っていることが科学誌ネイチャーに報告された。2つの環はクワオアーからそれぞれ約4,100kmおよび約2,500km離れたところを公転している。いずれもクワオアーやその衛星ウェイウォットと共鳴しており、それが環が安定して存在できる理由の一つと考えられている。太陽系外縁天体で発見された環はカリクローやハウメアに次いで3番目となる。しかし、クワオアーはこれらの天体よりも小さく、また環がロッシュ限界よりもかなり遠くにある。これはロシュ限界による潮汐破壊が環の形成過程の有力な説であり、ロシュ限界から遠い環はいずれ集まって衛星になると考えられるところ、異なる環の形成理論もしくは集まることを阻む原理が必要とされたことが特徴的である。
50000番小惑星「クワオアー」に「環」を発見! 環をロシュ限界の外側で初めて発見 | sorae 宇宙へのポータルサイト
2月16日
オーストラリア政府、MDMAやマジックマッシュルームを治療用に承認
オーストラリアは2023年2月16日、7月1日から合成麻薬MDMAやマジックマッシュルームを、特定の精神疾患の治療薬として使用できるよう承認した。
これらの物質の使用は通常は違法だが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や一部のうつ病の患者に対して、認定を受けた精神科医が処方できるようになる。この措置は、世界で初めてのものであり、オーストラリア政府は、従来の治療法に効果がない患者にとって、希望の光になると期待している。
MDMAやマジックマッシュルームの治療効果については、科学的な根拠があるという主張がある一方で、慎重な管理や依存性や副作用の可能性についての注意が必要となる。また乱用や悪用のリスクもある。オーストラリア政府は、MDMAやマジックマッシュルームの治療用の使用に関するガイドラインや規制を策定するとしている。
豪、MDMAと幻覚キノコの医療目的での使用を承認 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
マジックマッシュルームの成分とMDMAを医療目的で合法化へ、オーストラリアの世界初の決断が意味すること | WIRED.jp
2月17日
サル痘の名称を「エムポックス」(mpox)に変更へ
厚生労働省は、2023年5月26日から「サル痘」の感染症法上の名称を「エムポックス」に改正するとした。世界保健機関(WHO)が2022年11月に「Mpox」と呼ぶよう推奨したことに合わせるもの。
「サル痘」は、アフリカで発見されたポックスウイルス科のウイルスによる感染症で、天然痘に似た症状を引き起こす。このウイルスは、主にネズミやサルなどの動物からヒトに感染するが、ヒトからヒトへの感染はまれ。
WHOは、誤解や偏見を招くことを避けるために病名に地名や動物名を含まない方針をかねてより表明している。実際、サル痘でもサルの虐待や感染者への差別的言動があり、動物名を含まない「Mpox」という名称が提案された。
2022年から世界的な流行をみせたサル痘は日本では同年7月に国内初の患者が確認され、2023年9月15日時点で198人の感染が報告されているものの、毒性は弱くパンデミックには至っていない。
エムポックス(サル痘)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
【資料1】サル痘の名称変更について (mhlw.go.jp)
「サル痘」を「エムポックス」に変更へ 厚生労働省 | NHK | 医療・健康
ChatGPTが米医師資格試験で合格ラインに
研究者が米国の医師資格試験問題をChatGPTに解かせたところ、正解率は52~75%で、合格ラインとされる60%前後に達した、と報じられた。22年に公表された例題350問を解かせたという。
米国の医師資格試験(USMLE)は多肢選択式で、基礎科学・薬学・病態生理学、臨床医学、総合問題から構成される。ChatGPTは特別な訓練や強化学習を行わずとも合格ラインの正答率を示し、整合性の高さや洞察も認められたという。研究者は将来的に、ChatGPTを人間の医学学習支援にも活用できる可能性が示唆されたしている。すなわち、全解答の88.9%に1つ以上の優れた洞察が含まれており、医学教育において学習者に優れた洞察や模範となる演繹的推論を示したりできる可能性が示唆されたという。
なお、日本の医師国家試験は米国の医師資格試験よりも難易度が高く、多肢選択式ではなく記述式であることから、現在のChatGPTが解くことは困難だろうと評価されている。
ChatGPTが米医師資格試験で合格ライン|
ChatGPTが米医師資格試験で合格ライン|その他診療領域|
空飛ぶクルマが国内初の有人飛行
2023年2月17日に大分市で、「空飛ぶクルマ」が国内で初の屋外友人飛行を行った。国土交通省の許可を受けた屋外での有人飛行は、日本では初めて。
これは日本のスタートアップ企業が開発している2人乗りの電動飛行機。2人を乗せて地上約30メートルまで浮上し、約400メートルを3分半かけて自動飛行した。
大分市は空飛ぶクルマの開発を支援しているようで、他の開発グループにも飛行場を提供する協定を結んでいる。
なお「空飛ぶクルマ」というと自動車に羽根やヘリコプターのような回転翼がついたものを想像しがちだが、そのようなものも開発されている一方で、ドローンを乗用可能に大型化したようなものや、ヘリコプターを小型電動化したようなものもある。都市部での移動を想定した電動の垂直離着陸機(eVTOL)が多いようだ。ただまだ包括的な呼び名がなく、自動車のように一般人が所有できる航空機が象徴的に呼ばれていると思われる。
いずれにせよ、これらの乗り物の開発競争は世界的に過熱しており、2030年には3兆円規模の市場になるという予測もある。
空飛ぶクルマ、大分で国内初の屋外有人飛行に成功 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
空飛ぶクルマ、有人飛行成功 屋外では国内初―大分:時事ドットコム (jiji.com)
2023年に実用化?「空飛ぶクルマ」の勝者はどこだ 未来の「エアモビリティ」業界地図は大混戦 | エアライン・航空機 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
空飛ぶクルマとは?(2023年最新版) | 自動運転ラボ (jidounten-lab.com)
2月19日
インスタ等に有料認証マーク導入へ
2023年2月19日、InstagramおよびFacebookを運営するメタが、有料で認証マークを提供するサービスの導入を発表した。
ユーザーは月2000円程度の利用料を払い、公的機関が発行する身分証明書で本人確認を行うことで、認証マークを取得できる。なりすましや詐欺を防ぐ効果があるほか、投稿がより目立つようになったり、なりすましを防止するためのモニタリングを受けたり、顧客サービスに優先的にアクセスできたりする特典もあるという。
インスタグラムとフェイスブック、有料の認証マークを導入 メタ発表 – BBCニュース
米メタ、有料で認証マークを発行へ フェイスブックとインスタに導入 – CNN.co.jp
2月23日
アジア最大級のカメラ見本市、動画機能充実
2023年2月23日から、横浜市のパシフィコ横浜でアジア最大級のカメラ見本市が開催されている。コロナ禍を経て会場での開催は4年ぶり。
特徴は、動画撮影に特化したカメラが多く出展されていることでSNSでの動画アップの人気を反映しているといえる。
カメラ見本市、動画撮影に照準=アジア最大級、会場で4年ぶり | 時事通信ニュース (jiji.com)
2月24日
EUの機関が公的端末でのTikTok利用を禁止へ
欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は、2023年2月23日、職員の公用端末や公用サービスに登録された私用端末での中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使用を禁止した。職員は3月15日までにTikTokを削除しなければならない。
サイバーセキュリティー上の脅威や個人情報の流出を防ぐためとしている。欧州委員会のみならず、EU理事会や欧州議会も同様に職員の端末でのTikTok利用を禁止した。
欧州委員会は、TikTokが絡んだ問題事例があったかどうかは明らかにしていないが、他のソーシャルメディア・プラットフォームについても、セキュリティー面の検証を行っていくとしている。
欧州委員会、公務の端末からティックトック排除へ – CNN.co.jp
欧州委、公用端末でのTikTok利用禁止 | ロイター (reuters.com)
百貨店の1月売上高が15%増
2023年は新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限がなくなり、3年ぶりに通常通りの初売りが開催された。多くの百貨店は1月2日から初売りをスタートし、前年よりも売上高や入店客数が増加。特に、訪日外国人客による免税売上も拡大したという。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べると、客足は回復していないという声や、物価高や景気減速の影響で消費者の購買意欲が低下しているという指摘もある。
百貨店売上高15.1%増 初売り盛況―1月:時事ドットコム (jiji.com)
行動制限ない初売り、高島屋などの売り上げ2~3割増 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
【わかるまで解説】大行列が復活!百貨店初売りも…恒例の「
2月27日
政府、原発の60年超運転を事実上認める法案を閣議決定
2月27日、政府は「グリーントランスフォーメーション(GX)脱炭素電源法案」と呼ばれる5つの法案を閣議決定した。
この法案のひとつが原発の60年超運転を事実上認める法案で、原子力規制委員会の安全審査などで原発が停止していた期間を運転期間に含めないことで、最長60年の枠組みを超えて運転できるようにするもの。
また、原発の運転期間の規定を原子炉等規制法から電気事業法に移し、経済産業省が脱炭素や電力の安定供給などの観点から延長を判断できるようにする。
この法案は、既存の原発を活用することで、温暖化ガスの排出削減と電力の安定供給に貢献するという目的がある。しかし、この法案には、安全性やコスト、地元の理解などの課題もあり、原子力規制委員会の議論では委員の1名が反対していた。
原発の運転延長法案、衆議院で審議入り 「60年超」可能 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
原発60年超運転は「事業者を救うため」 この法改正が持つ意味は:朝日新聞デジタル (asahi.com)
「GX電源法」が成立、原発の60年超運転可能に…安定供給と脱炭素化の両立図る : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
2月28日
出生数が80万人を割る、統計開始以降で過去最少
政府は2022年に日本で生まれた子どもの数が80万人を下回ったことを明らかにした。これは、統計が始まった1899年以来、初めてで、政府の予想よりも11年早かった。
出生数が年80万人割れになった原因として、新型コロナウイルスの感染拡大による結婚の減少が挙げられる。日本では婚外子が少なく、結婚が出産に直結する傾向があり、2019年から2022年にかけて婚姻件数が減少していた。また、経済的な不安や育児環境の不十分さなども、出産意欲を低下させる要因となっている。
出生数の減少は、人口の減少や高齢化を加速させます。これにより、労働力や消費力が低下し、経済成長が阻害される可能性がある。また、社会保障制度の負担も増大する。現役世代が高齢者を支える割合(老年支援比)は、2020年で2.2人でしたが、2050年には1.3人になると予測されている。保険料や税金の引き上げなどの負担増が必要になることを意味する。
22年の出生数が初の80万人割れ、想定より11年も早く…首相「危機的な状況」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
日本の出生数急減、今年80万人割れへ 人口1億人未満早まる恐れ – 日本経済新聞 (nikkei.com)
出生数急減で80万人割れ、主な原因は? – 日本経済新聞 (nikkei.com)
経鼻インフルエンザワクチン承認
鼻に噴霧するタイプのインフルエンザワクチンが日本で初めて製造販売の承認を受けた。このワクチンは、2歳から18歳までが対象で、注射ではなく鼻に噴霧するだけで接種できる。海外では効果が疑問視されたこともあるが、日本では臨床試験で発症予防効果が約29%と報告されている。
インフルエンザワクチン 点鼻液を国内初の承認へ 厚労省 | NHK | インフルエンザ
経鼻インフルワクチン「フルミスト」承認へ:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)
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